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ゴラクコミックス「50円の青春」 日本文芸社刊 作/吉田幸彦 画/地引かずや 
「50円の青春」を買う!→ 50円の青春 本体価格\520

 *「50円の青春」を入手するまで−楽天フリマ買い物記

 *「50円の青春」牌姿&思想研究 new
 

 今回のこのテキストを分類として、どの項目の中に入れればいいのかまだ悩んでいる。

 影響を受けた漫画の紹介ということで「勝負師の条件レビュー」を「勝ち組への転換」の中でご紹介した。又、今回このコミックを紹介するにあたって入手した方法が楽天フリマに出品されてある、とあるサイトだったので、「コレクション・オークション」の枝ページでも、いいかもしれない。
 現在準備中の「フリー初心者講座」にも当てはまる内容だ。いや、そもそもどの項目に入れるのも適っていないかもしれない。あらためてこのコミックを再読して懐かしさというより、衝撃すら覚えているのだから・・・。

 麻雀のコミックで何が一番面白かったか?何が一番読み応えのある作品だったか?
 それぞれ諸兄の胸に残る作品があるに違いない。だが私はこの作品を入手してみて、これが一番自分が麻雀をやることに影響を与えた作品だったのだ、ということに気づかされてしまった。なんとも青臭く、やるせない鬱々とした気分を多少引き摺りながら、この項を書いている。
 麻雀のコミック如きで何が訴えかけられるものがあるもんか!という啖呵を切る気持ちがある。しかし、この作品は訴えかけることが出来ているではないか。衝撃的だ。普通コミックの作品は連載する雑誌との兼ね合いで、見切り発車でランディングし、着地点を必死で探す作業に追われるうちに冗長な展開になり、辻褄合せだなこれは、と読者がわかってしまう展開がどうしても出てきてしまう。コンセプト・作中思想・初期と後期の主人公の顔も、同じ作品でありながら違ったものになっているものが多い。
 この作品は東1局から始まり、南4局までの都合8回、おそらく連載当初から、この回数だけ続けさせるために作られたようだ。これが他の麻雀コミックにはない、恐ろしいくらいのまとまり・完成度を持って完結させることに成功している。
 そしてこの作品の掲載と私が麻雀に興味を覚えて、初めて麻雀の漫画雑誌というものを手に取って、目に触れた時期が合致する運命のいたずらがあったことを、あらためて今思い知らされたのである。おそらく麻雀を覚えてから読み始めたコミックの中で一番完成度の高い作品に、一番最初に出くわしてしまっているである。(最初に購入した麻雀漫画雑誌「麻雀ゴラク」の巻頭カラー作品だった・・・)
 時代背景としては90年代に入りかかった頃。 新人類と呼ばれる人たちの、遊びが多様化する中で「50円の風速」で麻雀を真剣に打つ2人の若者が、めぐり合う様々な人たちとの心の交流と、必死に自己表現する姿を煌々と描いている。非常に爽快感あふれるタッチで描かれているため、スッと読めるのだが、随所随所に問題提起がなされている。一つ難点があるとすれば、この主人公の2人がやや人物として完成度が高いがためにクリアできている問題が多いということだ。主人公たちの青臭さを表現できていない部分が若干、「青春」という題名を掲げるにはやや共感できない部分もある。しかし共鳴できる部分は随分とあり、今のシーンにも問題提起できる要素が沢山あった。(それについては別項ご参照)

 私が一番最初に雑誌で読んだのは「東4局」だった。すなわち4回目。「画面の中の雀鬼」という回。父母が家に殆どいない高校生がパソコンゲームの麻雀にハマり自信を掴んでから、舞台になっている渋谷の50円の雀荘「岡部」にやってくる話だ。迎え撃つ2人の主人公。(2人ともKO大学の学生)最初、様子を見る2人はぎこちない牌さばきながらも、最短でアガリに向かえる「まるで大学入試の模範解答を見ているような」手作りに感心する。が次の対戦でゲームの中の雀鬼たちでは表現できない、人間臭い手段で2人にこの高校生は大敗北してしまう。負けるということを知らなかった、この狼狽する高校生に対して「血の通った4人の人間が卓を囲む。それが麻雀だ」「俺たちはアガルためなら平気で1ハン、2ハンくらいは下げる。坊やの顔色から対子落としを見抜き、ラス牌でリーチをかけることもある」といいながら襟首を掴み、「画面の中の雀鬼さんはこんなことしないだろ?」と脅迫する。
 家に帰り両親の留守番電話の伝言が虚しくメッセージを伝えた後、この2人の伝言が入っていた。「今日の勝負はよかったぜ。又相手をしてくれ」「文彦ちゃ〜ん、油井ですよー。君に麻雀偏差値70をあげちゃうぞ。今度の土曜に生身の人間同士の戦いをやろうぜ!」PCの画面に向かっていたこの高校生は、目に涙をためながら「アニキたちめ!」と熱い衝動がこみ上げてくることを抑えられず、この回の幕引きとなる・・・
 そう、この漫画は闘牌から主人公たちの勝利という部分の展開は単なるフックなのだ。50円の風速でも真剣勝負を出来る相手を尊重し、そして自分たちのメッセージを伝える、という点が毎回のお約束事なのだ。「ギャンブル」ではなく「プライド」を賭けて勝負する風速ゆえに見えてくるものがあるという、麻雀の新時代到来を予見させる、麻雀と人との接し方を麻雀雑誌が提示した良作だったと信じたい。そんな「麻雀ゴラク」も今はない。

 「地上げ屋どもが何億っていう話をヘーキでする時代に50円でやっているんだ。すごいじゃないか」
 この作品の時代はバブル崩壊直前。現在展開されている「むこうぶち」の時代とオーバーラップする。かたや高レートで身を滅ぼす人間の救いのない話であるのであれば、この作品はその時代にありながら「ギャンブル」としての麻雀、および麻雀コミックに異を唱えた野心作だ。2004年の現在、15年も前にこのような作品が出現していたことに今更ながら、驚かざるをえない。作中の2人と同じように猶予期間(モラトリアム)の学生時代に当時交際していた彼女と別れ、低レートのフリー麻雀にどっぷりつかるきっかけを与えてくれた作品。万感の思いで読了する。

 


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